芥川賞受賞で注目を浴びている”おいしいごはんが食べられますように”(高瀬隼子作)を読んだので、ぶっちゃけた感想やあらすじを書いていく。

”おいしいごはんが食べられますように”のあらすじ
職場でそこそこうまくやっている二谷と、
皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、
仕事ができてがんばり屋の押尾。
ままならない人間関係を食べ物を通して描く傑作。
二谷(男性)芦川(女性)押尾(女性)の3人は同じ職場の同僚。
二谷と芦川は恋人同士、押尾は二谷に好意を抱いていて三角関係の状態。
3人の危うい関係を中心に話が展開されていく。
”おいしいごはんが食べられますように”の感想
読書感想を「総評」「良かったところ」「悪かったところ」の3項目でまとめる。
・総評
一言で感想を言うと→「人生で読んだ小説の中でベスト5に入るぐらい面白かった!」
それぐらい面白い小説。
最後まで一気に読んでしまった小説は久しぶり。
帯に書かれている「心のざわつきが止まらない。最高に不穏な傑作職場小説」のコメントはこの本の特徴を簡潔に表してると思う。
人間のジメジメとした部分を嫌悪感を抱かせないレベルで描写するバランスが読んでいて心地いい。
とてもうまく綺麗にまとまってる小説だと感じた。
何となく本屋で見かけて購入したんだけど、これが大正解。
人間模様を描く小説が好きな人には問答無用でおススメしたい小説。

・良かったところ
〇人物描写の妙なリアルさ
特に良かったと思うところを1つだけ選ぶとしたらこれ。
メイン人物の二谷、芦川、押尾の人物描写が妙にリアル。
二谷は社内でうまく振る舞い仕事もそつなくこなしている優等生、でも心の中では周りの人間をくだらないと思っていたり、彼女の芦川を見下していたりする。
芦川は体の弱い女性でみんなから贔屓されている。早退や病欠も多い。真面目で誰とでも分け隔てなく接するゆるふわガール。
押尾は仕事に対して真摯に向き合う反面、みんなから気を使われている芦川を毛嫌いしていて裏で悪口を言いまくってる生真面目ちゃん。
この3人の人物描写って誰でも共感する部分があるんじゃないかな?
自分の周りにいそうな人間を描くのがめっちゃ上手だと感じた。
「あー、こんな奴いるわ」って思わせるような描写がされてる。
この人物描写のリアルさが読んでいて心地よかったし、面白いと思う一番の要因だった。
・悪かったところ
〇ストーリーに起伏がなくオチが弱い
悪いところでもあり良いところでもあるんだけど。
ストーリーに大きな変化がなくて最終的なオチも弱いと感じた。
人間関係の不穏さを中心に描いてる作品なんだけど、その不穏さがずーっと同じ温度なんだよね。
めっちゃ嫌な気分にもならないし晴れやかな気分になるシーンも無い。
そんな中途半端な状態を保ったまま話が最後まで行くのでちょっとモヤモヤ感が残る。
最後のオチも、もう一捻りあっても良かったんじゃないかなと思う。
”おいしいごはんが食べられますように”がおススメな人
本作をおススメできる人はこんな人。
・リアルな人物描写が好み
・ハッピーエンドじゃなくてもいい
・ジメジメした人間関係を覗き見したい
作中の雰囲気は基本的にずっとジメジメしてるので、明るい話を求めている人には向いてないと思う。

みんなの口コミはどんな感じ?
Amazonの口コミをいくつかご紹介。
人間の深い悪意。
Amazon
リアリティがあって背筋が寒くなった。
ずっと不穏って言葉がしっくり来た。
Amazon
登場人物みんな不穏だからどの立場で話を観るかによって感じ方がかわりそう。
人間関係や描写がリアル。
Amazon
こういう人、職場にいるよねっていう感じ。
弱い方が守られて可愛がられる世界。イラっとするよね。
読み終わってモヤっとしたまま。
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